【書評】先入観をぶち壊せ!LIFE SHIFT ~100年時代の人生戦略~

LIFE SHIFT

Elders

「あなたは100歳まで生きることになるでしょう。」

そう言われて安々と信じることができるのだろうか。

仮にそれを信じたとして次に考えるのは不安なことばかりだ。

仕事はいつまで続けることになる?老後の貯金はどれくらい必要?結婚はした方が良いの?

100歳まで生きると聞いたら、ネガティブなことばかり思い浮かべてしまう。

 

 

しかしこの「LIFE SHIFT ~100年時代の人生戦略~」はこれから確実に訪れるであろう寿命100年時代をポジティブに捉え、進むべき指針を与えてくれる指南書だ。

これを読むと今まで自分が漠然と考えてきた人生進路を再び考え直さざるを得なくなる。

親世代が歩んできた人生は淘汰され、自分の道を作り上げなければならないと奮い立たせられる。

あまりにも内容が濃いので、僕がこの本で気に入った節を抜粋していこうと思う。

新しい三つのステージの出現

Company

「一斉行進」が終わる

 3ステージの人生では、教育→仕事→引退という順番にステップを経る以外選択肢はない。多くの人がこの順番通りに人生を歩み、同世代の人たちが隊列を乱さずに一斉行進することにより、確実性と予測可能性が生まれていた。人々は、機会と選択肢の多さに戸惑うことなく、企業や政府は人々の多様なニーズに直面せずに済んだ。この点を考えれば、多くの組織の人材採用、育成、昇進の方針が3ステージの人生を前提していることは以外ではない。

 

日本で「一斉行進」ときいて最初に思い浮かべるものは新卒一括採用だ。「一斉行進」が終わる時代が来ると聞いても、周りと合わせる国民性や新卒一括採用の優位性を考えるとまだまだ「一斉行進」をやめることは企業、個人両方にとってまだまだ難しいことなのではないかと思う。

 

しかし、ある企業はこの一斉行進の終焉を読んでいるかのような制度を最近発表した。

リクルートだ。

新・新卒採用|リクルートライフスタイル

人事がLIFE SHIFT読んでんじゃねーか?と思うほどこの制度はこの本に書いてあることにマッチしている。

このような採用方針に全企業がなれば100年時代の過ごし方も具体的になるのではなかろうか。

 

マルチステージの人生では、新しい人生の節目と転機が出現し、どのステージをその順番で経験するかという選択肢が大きく広がる。ステージをへる順番は、3ステージの人生の論理ではもはや決まらない。それは一人ひとりの嗜好と状況によって決まるのだ。

この本では新たな三つのステージを経ることを推奨している。

・選択肢を狭めずに幅広い針路を検討するエクスプローラー(探検者)」

・自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こす「インディペンデント・プロデューサー(独立生産者)」

・さまざまな仕事や活動に同時並行で携わるポートフォリオ・ワーカー」

どのステージも大変魅力的であるがぼくが特筆したいのはエクスプローラー(探検者)」である。

特に若いうちに知らない世界を探検することによるメリットは大きい。

同じ土地に何年もいると自分の考えが確立し、倫理観などが醸成されていく。

それは同時に人生の偏見にもつながる。

この人生の偏見を覆せるのは若いうちでないと難しい。

多くの文化を知り、そこで住む人々の考え方、思想、倫理を知ることは自分の人生観に大きな影響を及ぼす。

エクスプローラーは刺激的なステージだと思う。

 

この新たなステージに挑戦する上で一番気をつけなければならないことは「周りからの批判」だと思う。

3ステージが当たり前であると考える人にとって独立や探検に対し、良い選択肢だと思われない。逃避や気が狂ったかと思われることで精いっぱいだ。

就職のようにステージの移行には大きなストレスがつきものである。

批判を顧みず、新たなステージに進むことがあなたの針路になり、それが他人の針路にもなる。

 

無形の資産

Friends

長寿となると必ず年金など有形資産の議論は必要不可欠である。

しかし、それと同等、もしくはそれ以上に必要なのは無形の資産であると筆者は訴える。

 

無形の資産は、私たちの人生のあらゆる側面できわめて大きな役割を果たしている。お金は確かに重要だが、ほとんどの人はそれ自体を目的にしていない。私たちがお金を稼ぐのは、それと交換にさまざまなものが得られるからだ。私たちはたいてい、優しい家族、素晴らしい友人、高度なスキルと知識、肉体的・精神的な健康に恵まれた人生を「良い人生」と考える。これらはすべて無形の資産だ。長く生産的な人生を築くために、有形の金銭的資産と同じくらい、無形の資産も重要だということは、誰もが納得できるだろう。

どうしても生活を考えるとお金の重要性に目が行ってしまう。しかし、それは手段に過ぎず、無形の資産を手に入れるためのものだ。

100年という人生を過ごす中で、無形の資産がなければ無味乾燥な人生となってしまう。友人、配偶者、子どもを軸に人生の指針を熟考することで人生は華やかになる。

有形の資産と無形の資産は相互関係にある。二つを意識しながら人生戦略を考えなければならない。

 

まとめ

いろいろ書いたが、400ページもあるこの本の末端の末端でしかない。

この本は今までの先入観を壊し、新たな人生を創造するエッセンスがちりばめられた素晴らしい本だ。

ぜひとも自分の目で読んでいただきたい。

 

 

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)